音信不通の相続人がいる場合はどうすればよいのでしょうか?
音信不通の相続人がいる場合、相続手続きを進めるのが難しくなります。
しかし連絡を取れないからといって、無視することはできません。
場合によっては相続財産管理人の選任や失踪宣告などの手続きも必要となります。
今回は音信不通の相続人がいて相続手続きをスムーズに進められない場合の対処方法をお伝えします。
音信不通でも行方不明ではない場合
音信不通でも、単に連絡を取れないだけで行方不明ではない場合には家庭裁判所で「遺産分割調停」を申し立てましょう。
遺産分割調停を申し立てると家庭裁判所から相手へ呼出状が送られます。相手が期日に出頭すれば、話し合いによって遺産分割ができます。
相手が期日に出頭しない場合には調停は不成立となって遺産分割審判となります。すると裁判所が遺産分割方法を指定するので、最終的に遺産相続手続きを進められます。
完全に行方不明な場合
問題は、音信不通の相続人が行方不明のケースです。
行方不明者がいる場合には、「不在者財産管理人」を選任しなければなりません。
不在者財産管理人とは、行方不明者の財産を本人に代わって管理する人です。
不在者財産管理人が選任されたら、その人を交えて遺産分割協議ができるので、遺産相続の手続きを進められます。
不在者財産管理人の選任申立の際に候補者を立てることもできるので、相続人以外の親族を候補者にすると良いでしょう。司法書士などの専門家を候補者とすることもできます。
不在者財産管理人を選任する際の注意点
不在者財産管理人と遺産分割協議を行う場合、法定相続分より行方不明者の取得割合を減らすことは基本的に認められません。
また行方不明の相続人が帰ってくるか死亡が明らかになるまで不在者財産管理人の業務が続くので、親族が選任されると負担になる可能性もあります。
行方不明の相続人が戻ってきたとき、不在者財産管理人との間でトラブルになるケースもみられます。
司法書士などが不在者財産管理人となって遺産分割を適正に行うことも可能です。適切な候補者がいなくてお困りの際にはお気軽にご相談ください。
7年以上行方不明なら失踪宣告もできる
音信不通の相続人が7年以上行方不明になっている場合には「失踪宣告」の申し立ても検討した方がよいでしょう。
失踪宣告とは、行方不明者を死亡したとみなす手続きです。失踪宣告をするとその人は死亡した扱いになるので、相続が発生します。行方不明の相続人の失踪宣告が認められると、その人の相続人(子どもや親、兄弟姉妹など)を交えて遺産分割協議を行います。
この場合、法定相続分にこだわる必要はなく、相続人らの希望に応じた割合で遺産分割ができます。
失踪宣告するには、基本的に「失踪後7年」が経過していなければなりません。ただし戦争に巻き込まれた場合や沈没船に乗船していた場合など、生命が脅かされる危険に巻き込まれた場合には1年で失踪宣告ができます。
音信不通の相続人がいる場合の対処方法は1つではなく、状況に応じて選択する必要があります。迷われた際には専門家がアドバイスしますので、お気軽にご相談ください。