相続登記に権利証は必要?
相続登記の依頼を受けた時、依頼者からこんな声を聴くことがあります。
「故人の権利証が見当たらないんですけども名義変更できるでしょうか?」
通常は相続登記に権利証(正式には登記済証、不動産登記法改正以後は登記識別情報といいますが、ここではわかりやすく権利証と表現します)は必要ありません。しかし、場合によっては必要となる場合もあります。
今回は例外的に権利証が必要になる場合を説明します。
住民票の除票又は戸籍の附票が提出できない場合
登記簿には住所と氏名が登記されます。
登記手続きの際には法務局に住所と氏名を確認できる公的書類を提出することによって、登記名義人に係る申請であることを証明します。
相続登記の場合には、登記名義人は亡くなっていますので住民票の除票や戸籍の附票を提出します。
しかし、住民票も戸籍の附票も保存期間が短いため相続開始から時間が経ってしまっていると、保存期間経過により廃棄され取得できないことがあります。
※令和元年6月20日の住民基本台帳法の改正により、住民票の除票及び戸籍の附票の除票が保存期間が5年間から150年間に延長されました。(住民基本台帳法施行令第34条第1項)
そのような場合、不在住証明書や不在籍証明書とともに権利証を提出することで登記名義人に係る申請であることを証明していくことになります。
遺言書に遺贈する旨の記載がある場合
遺言書の中で特定の人間に不動産を遺贈する旨の記載がある場合は権利証が必要になります。
相続を原因とする所有権移転登記は、不動産を相続する人が単独で申請することができます。
しかし、遺贈を原因とする所有権移転登記は相続人全員(もしくは遺言執行者)と遺贈を受ける人が共同で申請します。
この場合は、贈与や売買による所有権移転登記と同様に権利証を法務局に提出することになります。
権利証がない場合でも
上記の例外的な場合に権利証が紛失してしまっているということもあります。
権利証がなくても登記手続きを行う方法もありますので、お困りの際はぜひご相談下さい。