事例紹介

古い抵当権が発見された場合

相談内容

相談者は横浜市神奈川区在住のAさん(60代男性) 

先日、父親Bさんが亡くなり相続登記のご相談でお見えになりました。 

母親CさんはBさんより前に他界。Aさんには兄弟はおらず一人っ子です。 

不動産の権利関係を調査したところ、昭和初期に設定されたDさんを抵当権者とする抵当権登記が残ったままであることが判明しました。

抵当権の設定日は昭和3年、債権額は200円、弁済期は昭和5年12月31日です。

抵当権登記の抹消は法律上の義務ではありません。

しかし、抵当権の登記が抹消されていないと、将来、不動産を売却をしようとした時に支障が生じる場合があります。

※事例は当事務所が受任した案件をもとに、場所、名前、家族関係を変更しています。

 

当事務所のご提案

供託手続きを利用した抵当権の抹消をご提案

Aさんは、相続登記と併せて、抵当権の抹消も希望されました。

通常、抵当権を抹消する場合は抵当権設定者(Bさんの相続人であるAさん)と抵当権者(Dさん) 双方の協力が必要です。 

しかし、Dさんは登記上の住所には住んでおらず、行方がわからない状態です。 

このように抵当権者の協力が得られない場合に抵当権設定者が単独で抵当権を抹消するには「除権決定を得る」「裁判を起こし勝訴する」「債権証書及び弁済証書を提出する」「供託を利用した休眠担保権の抹消手続きを行う」等の方法があります。 

今回は諸事情を鑑み「供託を利用した休眠担保権の抹消手続き」を利用して抵当権を抹消することをご提案致しました。 

供託を利用した休眠担保権の抹消手続きをするには下記の条件に当てはまることが必要です。

①抵当権者(Dさん)の所在が不明で共同申請できないこと 

②抵当権、先取特権、質権の抹消登記であること 

③抵当権によって担保される債権の弁済期から20年経過していること 

④弁済期から現在までの元本、利息、損害金を供託すること

今回は全ての条件に当てはまります。 

結果

相続登記でAさんの名義にした後、弁済期から供託日までの元本、利息、損害金1000円弱供託し 被担保債権の弁済期を証する書面や供託書正本を法務局に提出することにより、Aさん単独で抵当権を抹消することができました。

ポイント

古い抵当権で抵当権者の行方がわからない場合は、供託手続きを利用した抵当権抹消手続きをご検討ください。